全国お魚展覧会


製作:から

1.      はじめに

このシナリオは『クトゥルフ神話TRPG』に対応したシナリオです。

また、このシナリオはギャグシナリオです。KPはシナリオを遊ぶ前に、そのことをしっかりとPLに告知しておく必要があります。

シナリオ所要時間は68時間程度。慣れたKPPLであれば、時間はもっと短くなることでしょう。

推奨技能は、〈水泳〉、〈目星〉、〈回避〉ですがこれ等がなくてもクリアは出来ます。絶対に探索者を殺したくないPLは必ず〈水泳〉を取るようにしましょう。

初心者向けのシナリオをと言うことで、探索あり、戦闘あり、謎解きありに仕上げてみましたがはてさて。よっぽどのことがない限りは死なない作りになっていますので、気楽に挑んでみて下さい。

 

2.シナリオ背景

探索者達の勤める探偵事務所に、クトゥルフ神話ではお馴染みの神話生物である、深きものの特徴を備えた依頼人が訪れます。彼女は自分の部屋で起こる、神話的?事象について解決してくれるよう頼みます。

 

その数か月前のこと、日本海よりクトゥーニアンが封じられた石碑が揚げられます。

クトゥーニアンの信者達はこれを奪還するため、運搬中のトラックを襲いますが敢え無く失敗。仕方なく信者達は、とんでもない作戦を考案します。

その作戦と言うのがなんと、美術館の向かいにある探偵事務所のビルの下から穴を掘り、トンネルを形成して、気付かれない内にこっそり盗んでしまおう!言うかなり古典的な作戦でした。

 

探索者達は、まさか自分達の足元で大掛かりな計画が進行しているとは気が付かないまま、依頼人を救うべく探偵事務所を後にするのでした。

 

3.      NPC設定

▼魚顔の女:錦 彗星 年齢32

STR:18 DEX:12 INT:13 アイデア:65
CON:12
 APP:5 POW:18 幸 :90
SIZ:12
 SAN:0 EDU:16 知 :80
H P:12
 M P:10 回避:30 ボーナス:+1d4
―――――――――――――――――――――――――
[
技能]

芸術(小物集め)50% 図書館:50% 値切り:89

他の言語(英語)75% 目星:50% 歴史:60

 

鍵爪:25% 1d6+1d4

泳ぐ:100

装甲:1ポイント

 

今回のシナリオのヒロイン?です。人好きのする性格の、磯の臭いを振りまく魚顔の女性。

彼女は深きものの血を継ぐ一族の一員ですが、その血は一族の中でもかなり薄く、また都会に出て暮らしていたため、一族の人間と接触することは稀。魚人化する事もなく日々を過ごしていましたが、クトゥーニアンによる接触を受けたことで深きものの血が活性化し急速に魚人化が進行してしまいました。

 

▼探偵事務所職員?:松殿  年齢26

STR:11 DEX: CON:12

APP:16 SIZ:14 H P:13
――――――――――――――――――――――――――
[
技能]
医学:90% 及び 水泳以外のKPが望むもの

呪文:KPが望むもの

 

クトゥーニアンによるSANチェックを受けない

また彼は戦闘に参加しない。行動する場合は必ず探索者達の後になる。

 

やけに馴れ馴れしい白面の青年です。

今回は探索者達に依頼を任せて探偵事務所でお茶を飲んでいたり、女性と遊んでたりしています。金槌なのはご愛嬌。

 

4.      導入

季節は夏。何時もと変わらないことが嘆かわしい東北某県のY市が舞台です。

このシナリオは、探偵事務所に依頼人が訪ねて来るところから始まります。探索者達は探偵事務所の所員か、関係者が望ましいでしょう。依頼人が訪ねてくるのは、シナリオの関係上、午後の昼過ぎが適当です。

 

茹だる様な夏日、探索者達は何時ものように雑居ビルの二階の探偵事務所に集まっている。

「何時ものように」この言葉には少しばかり語弊があるかもしれない。

金曜の昼過ぎ、本来なら気持ちの良い時間帯のはずが、探偵事務所の隣では工事が行われており、蝉の声すら聴こえないほど騒がしい。

 

探偵事務所の様子を伝えた後、軽いRPをして貰い、ある程度会話が進みPLが自分のPCの特徴を掴んだ所で、全員に〈聞き耳〉を振るよう促しましょう。成功した探索者は、玄関の向こうから階段を上がって来る、2人分の足音を聞く事が出来ます。

足音を聞いてすぐに扉が開き、2人の男女が部屋に入ってきます。

 

扉を開いたのは、背の高い白面の青年です。年齢はニ十代前半くらいでしょうか。

彼の名前は松殿(まつどの)と言い、この探偵事務所の所員で、信頼にたる人物であると探索者達は知って居ます。

彼はこのシナリオの犯人としてミスリードを誘う役と、最後の最後でPLの命綱となる役の2つの役割を持っています。KPは、彼が一緒にいる所では彼に〈医学〉を技能値90%で振って貰えるが、彼には今回のシナリオのキーになる〈水泳技能〉がないこと、そのため運用には気を付けなければならないことを予め探索者に伝えておきましょう。

 

松殿に伴われ現れたのは、背の低い小女。目はぎょろりと剥き出し、首は短く、絶え間なく苦しそうに口をぱくぱくと開閉しています。彼女が部屋に入って来ると、水が腐ったような生臭いにおいが部屋に充満し、探偵事務所は「臭い、煩い、暑い!」の三重苦に支配されます。

松殿は小女にソファに座るようにすすめ、探索者達に依頼人であることを告げると御茶の準備をするべく奥へと下がってしまいます。小女は椅子に坐ると机の上に一枚の名刺を置き名乗ります。

 

「錦 彗星(にしき すばる)と申します」

「職業はそこにあります通り、運送会社に勤めておりまして。この度は此方に移動になりました」

 

名刺には「加々見運送 職員 錦 彗星 」と女が告げた内容と共にメールアドレスと手書きですが携帯の電話番号も書かれています。

彼女はこんな見た目ではありますが、酷く憔悴しており、探索者達に自分の身の回りで起きている怪異の原因を究明してほしいと依頼します。

 

5.      寿司、おぼえてますか

彼女はまず自分がどうしてこの土地に来たのかを話します。

彼女は元は都心部の郵便局で働いていましたが、顧客とちょっとしたことで騒動をしてしまいノイローゼに。仕事を辞め親戚の運送会社で現場責任者を任される事となりました。

顧客との喧嘩の内容は、KPが適当に答えてしまって構いません。消費税の増税による切手の値段の変更について説明を行った所、悪質なクレーマーに高すぎると文句を付けられ、以来、電話が鳴り止まずノイローゼになったとでもしておきましょうか。

仕事は見付かったものの東北の田舎町で仕事をするのであれば、先ずは家を見つけなければなりません。そこで駅から徒歩5分の所にある2LDKのアパートを借りました。

値段はかなり相場より安めでしたが、キッチンは対面式でバストイレ別。一人暮らしには十分な広さであるため、とてもいい物件を見付けたと最初は喜んだそうです。

 

KPはここで、彼女がこの部屋をどんなに気にいっているのかを探索者達に強くアピールしましょう。部屋については3.海が聴こえる?を参考にして下さい。

彼女は見付けた部屋がどんなに素晴らしいか、どれだけ手放したくないのかを告げた後に、がっくりと肩を落とし項垂れます。

 

何故なら、夜になると怪異が起こるからです。

ここでKPは怪談語りをするかの様に声を落とし、殊更に探索者の恐怖を煽りましょう。

 

夜、布団に入り目を閉じると決まってある歌が聴こえて来る。最初はとても小さく、何処から聴こえているのか分からないほど遠くから聴こえて来るため、気のせいかな?と思うのですが、歌声はだんだんと大きく近くなってくる。思い出しながら歌っているのでしょう、歌は途切れ途切れで、歌詞が違っている時もある。歌を歌っている相手は見えない。見えないのに、歌だけがだんだんと近付いて来る。そして最後は耳元で歌い続けるのだ。

私の耳元で。こんな歌を。

 

「ホタテ 甘エビ ウニ イクラ……」

 

上記の台詞は一例です。

KPは全員を見渡してから、自分が好きな魚に関するちょっと古い歌を流しましょう。

お勧めは「シブがき隊のスシ食いねェ!」です。

BGMを流す代わりにKPの美声を響かせてもいいかも知れませんが、なるべくBGMを予め用意しておいた方が場が盛り上がります。これはギャグテイストのシナリオですので、思わず笑ってしまう様な明るい曲にするのをお勧めします。

KPPLからツッコミを待ちましょう。ツッコミが入ったら錦はその言葉に賛同する台詞を口にします。

 

「えぇ、古いでしょう?私もね、そう思ってちょっとその歌は古いんじゃないかって言ったんですよ、そうしたら直ぐに歌が止まるんです」

「でも暫くすると、また歌が聴こえて来る」

 

KPは前回歌った物よりも少しだけ新しい魚に関する曲を流しましょう。「お魚てんごく」お勧めです。此処で再びツッコミが入ったら、別の曲を流してもいいかもしれません。

探索者達は前述のノイローゼの話もあり、錦の正気を疑うでしょうが、錦は懸命に自分が陥っている状況から助けてくれるよう探索者達に訴えます。

 

この話しにはまだ続きがあります。

錦は声のトーンを変え、落ち着きを取り戻すと話しを続けます。

 

こんなヘンテコな問答?を続けているうちに、私は何時しか眠りに付いてしまいます。

そして海の夢を見る。最初は、海岸に立っていました。

海岸線は何処までも続いており、空には星が瞬いている。空を見上げていたら、海に呼ばれているような気がして、無意識に海へと歩き始める。腰まで海に浸かっても、水面の高さが首まで来ても足を止めることは出来ない。海の底へ、底へと歩き続ける。

酸素が足りなくなり、苦しくて目が覚めました。目が覚めると、耳元でまた

 

「ホタテ 甘エビ ウニ イクラ……」

 

ここで再び最初に流したBGMを流しましょう。これぞ天丼!とはいえ、あまり長く流し続けると顰蹙を買いますのである程度流した所で潔く切り上げて下さい。

 

歌はどんどん遠ざかって行きます。

これが引っ越してから毎日のように続いている。最初は酸欠で苦しくなり夜中に目覚めていたが、今は慣れだろうか海の中にいても苦しくないので朝まで寝て居られる。海の夢は暖かく優しいので嫌いではないが、この歌があまりにもうざったい。

 

錦は此処まで説明してから、机の上に部屋の鍵を叩き付け、自分は有給を貰ったのでその間、念の為に違う家を探そうと思う。探索者に家の鍵を貸すので、この間に、家に泊まり歌の原因を突き止めて貰いたいと、告げます。

 

錦の話しはこれで終わります。

錦の容姿はとても魚に似て居ます。それを指摘しても彼女はそうでしょうかと首を傾げるだけで、本人は似ているとは思っていません。ノイローゼで仕事を休みがちだったこともあり、最近ちょっと太ったかなとは思っています。

〈目星〉をすることで、彼女の指の間にヒレのようなものがあることが分かります。

彼女に、昔の写真があるかと問うと今春に撮ったものだと言って、免許書を見せてくれるでしょう。そこには、APP13の黒髪が美しい女性が映っています。

 

松殿は探索者達に依頼を受けるように勧めます。

この際ですが、工事の音がとても煩いから外に出ていた方が良い。一階の居酒屋のママも旅行に出かけたと、それとなく探索者達に伝えて下さい。

これは後々、とても重要なヒントになります。

この後ですが、松殿はミスリードを誘う役割がありますので、探索者達と一緒に錦のマンションに行くことはありません。全員で事務所を開けるのは不味い、自分が事務所を見ているからとでも言って、探索者達を笑顔で送り出しましょう。

 

これ以降、9.日本海より来たる、まで錦、松殿の両名とはコンタクトが取れなくなります。

電話は電波が届かない所にあるか、充電が切れているか。メールをしても返事はありませんし、事務所に戻っても姿はありません。

 

6.      海が聴こえる?

ここから1時間掛けて探索者達は、錦のマンションに向かうことになります。

家にそのまま出掛けても構いませんが、人によっては管理人に事情を聞いたり、錦のことを調べようとしたりするかもしれません。KPは以下の情報を探索者に渡しましょう。

 

◆加々見運送

日本の宅配便事業を行う企業のひとつ。猫やペリカン等の大手企業に比べると規模は小さいものの、芸術品の運搬に定評がある。跳ねるコイのマークが目印。

 

加々見運送に電話または会いに行くと、錦は確かに加々見運送の社員であると言われます。

錦の写真を求めると入社時のものだと、人の良い笑みを黒髪の女性の写真(APP11)を送ってくれます。錦の面影はありますが、魚臭さはありません。これは加々見運送のホームページに掲載されていることにしてしまっても問題はありません。〈交渉技能〉に成功すれば、彼女はたしかに有給を取りましたが直ぐに取り消したことを教えてくれます。

また、錦の親戚について問われると、偉い人なので会ったことは無いから分からないと言います。此方の写真を見付けることは出来ません。

 

最後に社員は探索者達へ、錦さんのことを聞きに来たのは、君達で2組目だと言います。

聞きに来た人物ですが、冷たい感じのニ十代前半くらい美男子だったそうだ、と話します。

松殿の写真を提示しても、探索者達に応対している社員とはまた別の社員が応対したため、この社員には松殿と同一人物かどうかは、分かりません。また、その時対応した女性社員は、休みであり確認を取ることも出来ません。

 

◆マンション

7年と少し時代の付いた6階建てのマンション。洒落た外観をしており、管理が行き届いているからだろう実際の築年月よりも新しく見える。

立地条件は最寄りのバス停まで徒歩5分。駅まで徒歩10分と非常に恵まれている。

探索者の部屋は最上階、604号室の角部屋。間取りは2LDK。広いダイニングキッチンには食器洗浄機が常設され、風呂には追い焚き機能まで付いている。

家賃は管理費込みで6.5万と格安。何か理由があるのかもしれないが、設備には問題がなく、あまりの良物件に思わず錦は契約を結んでしまった。

 

◆管理人・不動産に話を聞く

管理人は1階の管理人室に住んでいます。マンションに行けば話を聞く事ができます。

前に住んでいた人に同じ症状はあるのか、夢や歌に関係する事をなにか知っているかと聞いても管理人に覚えはありません。

ですが、管理人は探索者に対してなにかを隠しているような節が見られます。

〈交渉技能〉に成功すると、錦がこの部屋を借りる前に男が来て100万円と錦の写真を渡し、この女が来て部屋を借りたいと言うまで部屋を空けておくよう頼まれたと話します。

 

このアパートですが、錦が入居する以前にストーカー男による殺人事件があり、管理人は入居者が見付からず空き部屋が多いことに頭を悩ませていました。入居者を得られる上にお金も付いてくる男の提案は、管理人にとってとても魅力的なもので、怪しいと感じながらもお金欲しさに受け入れてしまったのです。男ですが、冷たい顔付きの美男子で年齢は20代前半だったと教えてくれます。ここで再び、松殿へのミスリードを誘いましょう。

松殿の写真を見せても、管理人は覚えていません。こんな顔だったかな?と首を傾げてしまいます。

 

7.      あぁ、冷蔵庫に!

*クリックで拡大します

部屋に入った探索者に、KPは〈アイデア〉を振るよう宣言しましょう。

成功した人は誰かに背後に立たれたような違和感を覚え★0/1SANチェックです。

部屋に入った瞬間、探索者達は、今回の神話生物であるクトゥーニアンにより、支配されてしまったのです。〈アイデア〉に成功した探索者は、自分の取り憑いた何者かの気配に気が付く事が出来ますが、失敗した人は出来ません。

続けて、〈アイデア〉に成功した人は、POW10との対抗を行います。これに勝つことが出来ればクトゥーニアンは離れ、違和感は消えるでしょう。

 

このクトゥーニアンが支配されている、支配されていないは、神話生物を倒す際のヒントになりますので、KPは出来るだけ両方の探索者がいる様にしましょう。

ここで両方揃えるのに失敗した場合は、部屋の探索中のファンブルや、クリティカルで調節すると良いかも知れません。

 

部屋は錦の言った通り築年数のわりにとても綺麗で、窓からは柔らかな日差しが射し込み、とても過ごし易そうな雰囲気があります。少し生臭いのは錦の生活臭でしょう。

部屋は3部屋あります。KPPLに部屋の画像を見せてどこを調べるか聞きましょう。

 

◆洋室1

引っ越ししてからそう日が立っていないこともあり、まだ開いていない段ボールが並べられ物置きとなって居ます。クローゼットには何も入っていません。

 

調べると部屋の契約書の写しや洗濯機の説明書等の書類と共に、チラシが出て来ます。

チラシには「 新生活を始める方に、ギョッと驚くおススメのお部屋! 」とのキャッチコピーと共に幾つかのアパートの住所と間取りが書いてあり、一際大きく錦の部屋が取り上げられています。

 

◆洋室2

ベッドルームのようです。ベッドの脇に申し訳程度にサイドテーブルが置かれています。

 

ベッドは何処か磯臭く、よく調べると足の方に細かな砂が付いていることが分かります。

サイドテーブルの引き出しを開くと四つ折りにされたチラシが3枚出て来ます。それは探索者達の所属している探偵事務所の広告です。ですが、探索者達には探偵事務所がこのようなチラシを発行した記憶はありません。

〈アイデア〉に成功すると、1の部屋で見付けたチラシと文字のレイアウトが良く似ていることに気が付きます。またチラシの中の一枚には雨の染みが付いており、それぞれが別の日に配られたものだと分かります。

 

◆リビングダイニングルーム

錦の言った通り、キッチンはひろびろとした対面式のもので、新品の冷蔵庫や電子レンジが揃えられています。リビングにはダイニングテーブルと本棚、一人掛けのソファが置かれています。

 

キッチンを調べると、魚ともたことも言い難い奇妙なマスコットやおどろおどろしい本の形をしたマグネットが見つかります。これも新しいものでよく見ると「全国お魚展覧会」とのロゴが付いています。

本棚からは錦の仕事道具だろうと思われるファイルが見つかります。ファイルには様々な書類が入れられていますが一枚だけ端が折られている紙があります。それは美術館の館内案内図の写しで、ある広いスペースに赤いマジックペンで○が付けられており、隅にクリップで入場券が二枚とめられています。

入場券には「天才にも始まりがある~ゴッホ展~」と書かれており、今日で開催期間が終わってしまうこと、また明日と明後日は展示物交換により休日であることが分かります。

 

全国お魚展覧会ですが、検索してもヒットすることはありません。

本来なら展覧会はゴッホ展の後、美術館から始まり全国を回る筈でした。ですが、

出資者からこのキャッチコピーはあまりに適当過ぎると文句を付けられたため、別の物に変更することになりました。世間に出る前に変更されたのでネットで検索してもヒットすることはありません。マグネットは展覧会で売るグッズの試作品で、キャッチコピーが変更になったため美術館の職員が欲しいと言う人に無料で配っていました。

 

ゴッホ展の方は普通にヒットします。先月から美術館で展示を行っており、もうすぐ終了するようです。次に行われるのは「深海に眠る海賊の遺産展」の様です。詳しい内容は、おって掲載されるようです。

 

また美術館の過去の事件を調べると、ある新聞記事にヒットします。



 

本日未明、東北某県夕映市の路上で、5人組の男女が美術品を輸送中のトラックを襲撃するという事件が発生した。警備員がとっさに車の音響機器の音を上げたところ、驚いた犯人グループは何も取らずに逃亡した。警察は引き続き犯人達の捜査を行う模様。

夕映市美術館はこれを受けて警備を強化する方針だと話している。

 

 

美術館の場所ですが、実は探偵事務所から道路を挟んだ表側にあります。これは聞かれたら答えてあげましょう。Y市の美術館は四方をレクリエーション用の深い森林に囲まれており、美術に興味が無ければ見逃してしまうことが多い悲しい施設となっています。

 

ここまで調べた所で、美術館へ行ってみようとなるかも知れませんが、生憎と今日は午後から、明日は朝から一日中、閉館。入ることはできません。なにより午後に依頼人が来て話しを聞いて、移動して、部屋を調べてで、既に外は暗くなっているでしょう。

 

◆風呂とトイレ

こちらでもあのマグネットを見付ける事が出来ます。

 

探索者達は錦の部屋で一晩過ごすことになります。明らかに怪しい部屋で一晩を過ごすことを探索者はいやがるかも知れません。一人が泊まり他の人は外で寝る、という提案も出て来る可能性がありますが、それ等は、探索者達にとって良い方向に働きはしません。

もし部屋を出ようとする人の中で、部屋に入った際のアイデアに失敗している人、POW抵抗に失敗して居る人がいた場合は、その人はなぜか部屋から離れることが出来ません。何か嫌な予感がして体が部屋から出ることを拒否します。

 

〈精神分析〉に成功するか、クトゥーニアンに支配されていない人と支配されている人とのSTR対抗に成功することで部屋から出ることが出来るようになります。支配されていない人は、支配されている探索者を部屋から出すことに協力出来ますが、支配されている人は出来ません。〈精神分析〉に成功した場合のみ、その人がこの部屋に固執するのは本人の精神的な理由によるものだと言う事が分かります。

 

部屋を探索し終わった所で、あるいは部屋から出ようとごたついている所で、あの歌が聞こえ始めます。

 

8.      わたしは魚になりたい

KP1で流した曲を流しましょう。気分で別の曲に変えても良いですが、PLが飽きる前に次の処理に移って下さい。

 

歌が聞こえ始めると、クトゥーニアンに支配されている人は動く事が出来なくなります。

動く事が出来るのは、歌は錦の言っていた通り、徐々に大きく近くなってきます。部屋から出るとこの歌は途端に聴こえなくなりますが、部屋に戻るとまた聴こえてくるようになります。

 

支配を受けている人、受けていない人共に部屋にいる全員に睡魔が訪れます。

それは抗いようのないもので、探索者達は深い眠りに落ちるでしょう。

 

気が付くと、砂浜に立っていた。

眼前には広大な海が広がり、空を見上げれば満天の星。

初めてみた景色でありながらも、君達は海の果て、地の底に懐かしいものを感じるだろう。

 

この際ですが探索者達は同じ世界に居り、話すことも動くことも出来ますが、支配を受けて居る人は、絶対に背後を振り返ることが出来ません。他の人に背中を見て貰うことは出来ます。失敗した人の首のところから、細いひも状のものが生えており闇の中へ続いているのを見るでしょう。これを見た人、聞いた本人は★0/1d3SANチェックです。

ここからPOW対抗に成功した人と失敗した人とで変化が現れます。

 

君達は海へと足を踏み出した。

誰かが海の底で君が訪れるのを待っている、そんな気がする。

だが無情にも、(失敗した人の名前)は足が水に触れた瞬間、鋭い痛みを覚えた。

見ると水に浸かった足が溶け始めているではないか。水は君の体を溶かし苦痛を与える。

君達は海へ向かって歩き続ける(成功した人の名前)の背中を見送る事しか出来なかった。

 

(成功した人の名前)は海水の高さが腰まで来ても、首まで水に浸かっても足を止めない。

海の底へ、底へと歩き続ける。

とうとう頭まで水に浸かり、足は海底に届かなくなるが、それでも君は暗い海底を目指す。

徐々に酸素が足りなくなり、息苦しさを覚える。視界が滲む。

苦しい、酸素が足りない。あぁ、それでも、もっともっと深海へ!

あまりの苦しさに、探索者達は目を覚まします。

 

KPは海に入った探索者に〈水泳〉を振るか、振らないか聞きましょう。

成功するともっと深くへと潜ることが出来ます。失敗した場合は残念ですが、目を覚ますことになるでしょう。探索者は息継ぎをせず深海へと潜って行くため、成功してもCON*5を振って貰うことになります。数字はCON*4CON*3と小さくなり、失敗した場合は即座に目を覚まします。

CON*3までは探索者側がやめたい、と言った時点でロールをやめて目覚める事が出来ますが、CON*2以下は海底から導かれる声のまま海の奥深くへ沈んでゆき自分から目覚めることは出来ません。CON*2成功で、奇妙にねじ曲がった深海に沈む遺跡をみることでしょう。奥には総毛立たせる程の威圧感を放つ扉があり、探索者は名状しがたい、しかしどこか懐かしい、神の幻影を見ます。★1/1d10SANチェックです。

CON*1に成功すると、探索者の前で扉がゆっくりと開き、その向こうから眠れるクトゥルフが姿を現します。残念ですが無謀な探索者には、★1d10/1d100SANチェックが待っています。SANチェックを行った者は、クトゥルフの腕に包まれながら、足元、大地の下に潜むまた別の気配を感じながら目が覚めます。

 

目が覚めると、耳元でまた歌が聴こえますが、それは遠ざかり聴こえなくなります。

この奇妙な体験をした探索者は★0/1d6SANチェックです。

 

目覚めた後で探索者達は、情報を取り逃した箇所で再度、技能を振る事が出来ます。

分かりにくいシナリオですから、KPは積極的にPLに情報を渡して行ってあげて下さい。

 

9.      日本海より来たる

朝です。探索者達はこれからどうするべきか考えることでしょう。

次の展開ですが、探索者達に事件の本当の狙いについて気付いて貰わなければなりません。

KPは探索者達に好きなだけ調べ物をして貰いましょう。探索者達が自主的に外を調べてみよう!となったらその時に、あるいは探索者達が探索に詰まった時に玄関のチャイムが鳴り響き錦と松殿が現れます。

 

前日に錦に電話を掛けていたのなら、錦はついつい遊びに夢中過ぎて携帯が鳴っていることに気が付かなかった。松殿とレイトショーを見ていたのだと謝罪します。

そして、錦は探索者達に調査の進展を聞き、ゴッホ展のチケットの期限が今日で切れてしまうのを思い出したこと(実際は昨日の午前で終わっています)、誘う相手がいなかったため松殿を誘ってゴッホ展を見に行くことになったことを話します。錦には以下のことを聞くことができます。

 

◆全国お魚展覧会のマグネット

本来なら展覧会はゴッホ展の後、夕映市美術館から始まり全国を回る筈でした。ですが、

出資者からこのキャッチコピーはあまりに適当過ぎると文句を付けられたため、別の物に変更することになりました。世間に出る前に変更されたのでネットで検索してもヒットすることはありません。マグネットは展覧会で売るグッズの試作品で、キャッチコピーが変更になったため美術館の職員が欲しいと言う人に無料で配っていました。

錦は次の展示会で展示する美術品の運搬に関わっており、打ち合わせで美術館を訪れた際にこのマグネットを貰いました。

 

◆ゴッホ展

締切は昨日まで。錦は次の展示会で展示する美術品の運搬に関わっており、打ち合わせで美術館を訪れた際にゴッホ展のチケットを貰いました。誘う人もいなかったため、手元においておいたのを昨日になって思い出しました。

次に行うのは「深海に眠る海賊の遺産展」。日本海から見付かった金貨や石像、花瓶などを展示するようで、目玉は10mにも及ぶ巨大石碑だそうです。

一度、石碑を運んでいたトラックが強盗にあったから心配であるとも話します。

 

◆有給の取り消し

そんなことはない。自分はちゃんと有給を貰っている、そうでないなら会社から連絡が来ている筈だと話します。

これを疑問に思った錦が会社に電話を掛けてみると、錦は確かに有給を取り消していると伝えられます。これを受け、錦は自分は新参者であるため、毎日会っている会社の社員とは違い、現場のスタッフの中には自分の顔を覚えていない者の方が多い、と不安がります。

 

謎が謎を呼んだ所で、松殿にこんな話をさせましょう。

 

そう言えば今朝、探偵事務所に行ったら水道から水が出なくなっていた。何処かで水道管が壊れたのかもしれない。もし時間があるのなら、ちょっと見に来て欲しい。

 

此れで感の良い人はピンと来るでしょう。

犯人の狙いは、探偵事務所の所員をこの部屋に集め、探偵事務所を一時的に空にすることであると。

とはいえ、大抵の人は此処まで来てもワケがわかんねぇなと考えていると思います。それはそれで構いません。探索者達に実際に犯人達が何をしているのかを見て貰うことで、理解して貰うことにしましょう。

 

KPは探索者を、美術館あるいは探偵事務所へ誘導して下さい。

この際ですが、事務所ルートの方が、探索者達には都合が良いのですが、松殿への疑心暗鬼が加速していると、どうしても事務所へ顔を出したくないと探索者達は考えるでしょう。

その際は、マンションの管理人を探索者達と接触させ、昨日の内に、松殿の写真を見せているのなら、お金を貰った男性はこの人では無いと思い出したと伝えさせ、写真を見せていないのであれば、それを見せることで、犯人とは別の人物であることを伝えましょう。

 

10.   L or  F

ここからは2つのルートに分かれます。

美術館に突貫するルートと、探偵事務所に戻るルートです。

 

探偵事務所に戻る

探偵事務所の前で車を降りると、一階の居酒屋の扉が開いています。

居酒屋の扉には休業中。明日の夜まで戻りませんと書いてある紙が貼られています。

〈目星〉に成功すると扉の中へ、泥まみれの足跡が続いていることが分かるでしょう。

 

中に入ると店内は酷く荒れており、机や椅子は壁際に避けられ、泥で汚れた床にはシャベルや工具が落ちています。キッチンへ続く扉が開き、床に大きな穴が開いています。

調べると泥の中に一冊の手帳が落ちていることが分かります。手帳は泥水で濡れており、文字の殆どは流れてしまっています。

トンネルを確認すると松殿は警察に連絡すると言って、探索者から離れます。

 

穴からは梯子を伝い降りることが出来ます。

底まで降りると、真っ直ぐにトンネルが続いています。トンネルの幅は2m以上あり、大人が二人並んでもまだ余裕があるでしょう。トンネルの床にはレールが敷かれています。

暗いトンネルの中を歩いてゆくと端に土の山が出来ています。

〈目星〉に成功すると山の下から水が流れ出て、小さな水たまりを作っていることが分かります。流れ出る水はよく見ると赤い帯が混じっており、土の中から人間の足が見えています。

 

土を退けるにはシャベルや専門の道具を使うか、STR*3に成功することが必要です。

〈シャベル:初期値50%〉失敗すると土が落ちて来て1d3のダメージを受けます。

土を退けると、人間の死体が出て来ます。それは岩により酷く潰れ死体を見た者は★1/1d4+1SANチェックを受けます。死体の手は水道管のバルブを握り締めて居り、バルブは硬く閉められています。〈機械修理〉成功すれば素人が応急修復を施したと分かるでしょう。〈目星〉に成功するとバルブの横に小さく、バルブの回し過ぎに注意。破損の原因になります!バルブが破損した際は直ちに距離を取って下さい。と赤字で書いてあります。

 

まさかこの時点でバルブを捻る人はいないと思いますが……

バルブを開き過ぎると水圧によりパイプが破損、水が勢いよく溢れだします。それは鉄を折り曲げる程の勢いがあり、あっと言う間にトンネルに水が溜まって行きます。

地下道から出るには〈水泳〉に二回成功する必要があります。失敗した場合は水流に飲み込まれCON*のロールです。信者達はこの騒ぎの中、美術品を盗難しBADENDです。

 

手帳

 月 日

石碑が海から陸へと揚げられた。この時を私達はどれほど待っただろうか。

これで漸く我々はあの子の顔を見ることが出来るのだ。

あぁ、嬉しいかな地の底におわします我らが母よ。

トラックを襲う準備は出来た。今こそ御子をお返し致します。

 

 月 日

あろう事か石碑は美術館へと運ばれてしまうことになった。

御子は未だ深い眠りの中、我々がお救いするのだ。

幸運なことに美術館の向かいのビルの隣では工事を行っている。

床に穴を空けても上の探偵事務所の連中は気付かないだろう。

だが慎重に、慎重に。探偵事務所の隣は。

 

 月 日

決行は明日。

トンネルは未だ繋がらない。時間が足りないのだ!夜を徹して工事をしなければ。

だが、気付かれてはならない。こんな時の為に準備を進めてきてよかった。

御子の力をお借りして、女を探偵事務所へ行かせることに成功した。

所員は女の部屋へ向かい、これで夜にも作業を行えるようになった。

明日も安心して、碑文を外へ運び出せるだろう。

 

月 日

先に女の名を語らせた部下を美術館に紛れ込ませた。準備は整った。

今朝の事故さえなければあいつも御子の顔を拝めただろうに。

馬鹿な奴だ、管に罅が入ってしまったが。

失った仲間の為にも、碑文を取り戻さなければ。

 

さぁ、いまこそシュド・メルの赤い光を!


*クリックで拡大します

 

トンネルを進むと前方に光が見え、間髪いれずに小さな発破音が響き地面が揺れます。

以降は11へ続きます。

 

美術館ルート

美術館に到着すると搬入作業が行われています。錦は同行させて構いませんが、松殿は適当な理由を付けて早めに探索者から離して下さい。

 

錦を伴っていれば美術館の中へ入れてもらうのは簡単でしょう。錦が名乗ると、錦さんは既に来ている筈だと言われますが、会社の社員証明書を見せるなどすると職員も間違いに気が付き中へ入れてくれます。

錦がいない場合は職員を〈交渉系技能〉で説得することが必要になります。

 

探索者達は、美術館の展示室へと進みます。

展示室には海に関わる骨董品が展示されています。今回の展示品のメインとなる海から揚がった謎の碑文は展示室の最奥に専用のスペースが設けられています。

〈聞き耳〉に成功すると微かに、錦の部屋で聞いた歌が専用スペースから聴こえて来ます。

専用スペースの扉は閉まっており、なぜか鍵が掛けられています。〈鍵開け〉に成功すれば音もなく開く事が可能ですが、そうでない場合はSTR14との対抗ロールが必要です。

対抗ロールに成功すると扉が開きます。

 

展示室の中央には巨大な石碑が飾られていた。

海から揚がったと言う言葉を裏付けるように、その表面にはフジツボや海藻が付着しており、全体的に青みがかって見える。

 

石碑を良く見るか、見ないかは任意になります。

 

よくみると石碑には絵が彫られており、烏賊にも芋虫にも見える忌まわしい奇妙な生物から逃げ海に身を投じる人々の下に奇妙な文様が描かれていた。

 

このおぞましい石碑をみた探索者は★1/1d6SANチェックです。ここで石碑を見た人は後に《シュドメルの赤い印》を覚えることが出来ます。

 

石碑を見た所で、ガンと何かが地面に落ちる音がします。

そちらを見ると錦の名前のカードを首からぶら下げた女が立っており、足元には何処かで聞いたことのある曲を歌うアイドルグループの写真が落ちています。女が壁に飾ってあった展示品を誤って落としてしまったのです。

女は探索者達にどうして分かった!と驚きの声を挙げます。もしここで探索者達が推理を披露したいようであれば、推理披露タイムを設けてあげて下さい。

終わったところで、爆発音が響き地面が大きく揺れます。

 

もし〈鍵開け〉に成功している時は、男は写真を飾る作業をしており探索者達が近付くのに気が付きません。

 

11.大乱闘フィッシュブラザーズ

音と揺れが収まると展示室の床に大穴が出来ており、揺れで落下したMP3プレイヤーが何処かで聞いた曲を流し始めます。

事務所から来た場合は、穴から出ると4人の信者達に囲まれます。美術館側の場合は、穴から3人の信者達が出て来て探索者達と戦闘になります。地下側はここで推理タイムをとっても良いでしょう。

この際ですが、信者の一人は奥に立ち呪文《シュドメルの赤い印》を唱え始めます。この呪文は空中に印を描きそれを維持しなければならない呪文ですが、碑文に描かかれた印が赤く光を放ちこれの代わりになります。そのため攻撃しても呪文は止まりません。


 

信者1

STR:10 DEX:12 INT:10 アイデア:50
CON:14
 APP:7 POW:8 幸 :40
SIZ:14
 SAN:0 EDU:10 知 :50
H P:14
 M P:8 回避:30 ダメージボーナス:±0
―――――――――――――――――――――――――
[
技能]

シャベル:50% 1d8+db

 

信者2:美術館にいた男

STR:10 DEX:15 INT:11 アイデア:55
CON:12
 APP:10 POW:10 幸 :50
SIZ:12
 SAN:0 EDU:11 知 :55
H P:12
 M P:10 回避:30 ダメージボーナス:±0
―――――――――――――――――――――――――
[
技能]

拳:50% 1d3

 

信者3 

STR:13 DEX:10 INT:9 アイデア:45
CON:8
 APP:8 POW:10 幸 :50
SIZ:11
 SAN:0 EDU:12 知 :60
H P:10
 M P:10 回避:30 ダメージボーナス:±0
―――――――――――――――――――――――――
[
技能]

拳:50% 1d3

 

信者4

STR:9 DEX:16 INT:13 アイデア:65
CON:12
 APP:11 POW:18 幸 :90

SIZ:12 SAN:0 EDU:10 知 :50
H P:12
 M P:18 回避:50 ダメージボーナス:±0
―――――――――――――――――――――――――
[
技能]

シュドメルの赤い印

最初のラウンドで3ポイントのMPを消費。

次のラウンドからMP3消費して、展示室にいる者全員に1d3のダメージを与える。

術者は1の耐久値を毎ラウンド消費する。

 

 

 

 

 


戦闘開始から2ラウンド経過すると、クトゥーニアンによる支配を受けていた人達は、自分の背後に感じていた気配が消え、石碑の方へと向かっていく気がします。

 

赤い印は明滅を繰り返し、石碑に長い亀裂が走る。

美術館が大きく揺れた。これは爆発によるものではない、地震だ。

地震が止むと、石碑が二つに割れ、中から名状しがたい生物が姿を見せる。

 

揺れ動く触手と灰色がかった黒く長い袋の様な体。

体の上方に膨らんだコブの様な部分があり、脳か神経か、忌まわしい生き物の生命を維持する器官が詰められている。

 

これをみた探索者は★1/1d10SANチェックです。

神話生物、クトゥーニアンは生き残った信者をその体で押し潰します。KPはここでクトゥーニアンの攻撃力を見せて探索者に戦ったら不味いと言う事を自覚して貰いましょう。

美術館ルートで来た時のみ潰される間際、信者は「地下道に……」と叫びます。

クトゥーニアンが信者を殺している間、探索者達は逃げることが出来ますが、美術館に残った場合はクトゥーニアンが全力で押し潰します。

 

逃げる場所は勿論、水のある場所。地下が望ましいでしょう。

美術館ルートの探索者達はこれが何処にあるか、気が付かない可能性が高いと言えます。どうしようと悩んでいる場合は、どうして事務所の水は止まったんだと思う?とヒントを出してあげましょう。

 

クトゥーニアンが追い付いて来るのは、探索者達がバルブ前へと到達した時です。硬い地面を喰い散らしながら探索者達の背後より現れ、再戦になります。

この際ですが、狭い空間ですからクトゥーニアンは押し潰しを使用する事は出来ません。触手攻撃は1ラウンドが経過する毎に、1本づつ増えて行きます。押し潰しよりはマシですが、探索者によれば致命傷になりかねないので、いざとなったらその場にいるNPCに探索者を庇わせましょう。

 

探索者が生き延びる為には、逸早くバルブを回すか破壊しなければなりません。

バルブを掘りだしていない探索者達は先に土の山を崩す必要があります。土を退けるにはシャベルや専門の道具を使うか、STR*3に成功することが必要です。現在はクトゥーニアンの体により天上が支えられているため、土砂崩れによる1d3のダメージはありません。またクトゥーニアンの触手攻撃が外れると、土が崩れバルブが露わになります。

 

バルブを回す場合はSTR16との対抗ロールに成功、これは2人まで参加する事が出来ます。

破壊する場合は、バルブの耐久力は6となります。

バルブを開き過ぎると水圧によりパイプが破損、水が勢いよく溢れだします。探索者達は、クトゥーニアンの巨体が水に溶けて行く所を見るでしょう。噴出した水は鉄を折り曲げる程の勢いがあり、苦痛にのたうつクトゥーニアンが身体を壁に叩き付けた瞬間、土が崩れ美術館側の通路が塞がってしまいます。

そして、あっと言う間にトンネルは浸水してしまいます。

 

水に飲まれた探索者全員に、〈水泳〉を振って貰いましょう。

失敗した場合は水流に飲み込まれCON*6のロールを振って貰う事になります。これに失敗した探索者は1d6のダメージ後、再度CONを振って貰います。CONに掛かる数字は失敗する毎に1ずつ下がり、失敗する度に1d6のダメージを受けます。

成功した探索者は再度、〈水泳〉を振る事が出来ます。

〈水泳〉に二回成功する事で、探索者達はトンネルから探偵事務所一階に到達出来ます。

 

探索者達は松殿が呼んだ救急車によって病院へと運ばれ、治療を受けます。

治療が終わり、それから何週間経た後で、錦は探索者達の前に顔を見せます。

身体から魚臭さは消えており、その顔も何処となく人間に近くなっている気がします。

彼女は探索者達に謝礼と書かれた封筒を渡し、魚顔をした親戚の車に乗り帰って行きます。

袋を開けると中には多額の礼金と、「全国お魚展覧会」そう書かれた札を掲げ持つカエルとも魚とも言えない奇妙な生物のマグネットが入っていました。

 

気絶

最後の水泳は技能を持って居ない探索者にとってはとても辛いものになるでしょう。

気絶してしまう者も出るかもしれません。気絶した人にはそのまま待機して貰いましょう。

全員が気絶あるいは、探偵事務所に辿り着いたところでイベントが起こります。

 

封じられたクトゥーニアン

STR:52 DEX:7 INT:18 
CON:43
 POW:24 SIZ:32  
H P:37
 M P:24 回避:14 ダメージボーナス:+3d6
―――――――――――――――――――――――――
[
技能]

触手:75% 2d6+ラウンド毎に1d6CON

押し潰し:80% 4d6 装甲:3ポイント

ラウンド毎に耐久値を4ポイント回復する

 

12. 全国お魚展覧会

水泳失敗により気絶した人、耐久力が0になった人のみに起きるイベントです。

 

目を開くと、そこは海の中だった。

酷使し過ぎた身体は、貴方の言う事を聞かず、その体は水底へと沈み続ける。

見たことのない奇妙な魚の群れが悠々と泳ぎ去って行くのを、貴方は見送った。

何時の間にか光は消えて、貴方の体は暗い深海へと沈んで行く。

 

貴方の目が閉じようとしたその時だった。目の前に、よく知った女が現れた。

「あぁ、よかった。ここにいたんですね」

女はカエルに似た醜い顔を歪めて微笑むと、水搔きある手で深海に沈む巨大な建造物を指差した。

「お陰さまで、わたしはもっと良い住処を見付けることが出来ました」

「すみませんが今回の依頼は、なかったことにして下さい」

女はそう言うと貴方の手を引き、水面に向かって泳いでゆく。

 

気が付くと探索者達は全員、探偵事務所1階に流されています。

耐久力が0になっている人に対して、〈医学〉等を振る事が出来ます。成功すると九死に一生を得て探索者は目覚めますが、失敗した場合はロストとなります。

気絶した人達は目覚め、奇妙な夢を見たことによる★0/1d6SANチェックです。

 

周囲を見渡しても、錦の姿はありません。

探索者達は松殿が呼んだ救急車によって病院へと運ばれ、治療を受けます。

治療が終わり、それから何週間経っても錦は姿を見せません。

貴方達が彼のことを忘れ掛けた頃、謝礼と書かれた封筒が探偵事務所へと届きます。

袋を開けると中には「全国お魚展覧会」そう書かれた札を掲げ持つカエルとも魚とも言えない奇妙な生物のマグネットが入っていました。

 

消えた松殿

探偵事務所1階に到達した所で松殿に〈医学〉を振って貰うことが出来ます。

彼が〈水泳〉に失敗し気絶あるいは耐久値が0になった場合も、錦は水へと飛び込みますが、探索者とは異なり松殿も錦も帰っては来ません。

彼は何処へ消えたのでしょう。知っている人はそっと口を閉じましょう。

 


 

 

報酬

シナリオクリア 1d6

信者を全滅させる 1d6

クトゥーニアンを倒す 1d4

錦の依頼を完了する 1d4

探索者及び錦を除くNPCから死亡・失踪者が出る -1d6

 

呪文:シュドメルの赤い印 ※碑文を見る必要あり