隙間に撒かれた種


製作:しろちよ、コップ袋

1.はじめに

本シナリオは「クトゥルフ神話TRPG」に対応したシナリオです

現代日本、冬の頃を舞台としています

探索者のもとに、隣町から依頼者がやってくるスタンダードなシティシナリオです

プレイヤー人数は3人または4人を推奨。人数が少ないと詰む可能性があります

 

ハンドアウトについて

ハンドアウトは、HO1として探偵1名、HO2として探偵の友人・協力者2~3名。

 

推奨技能は英語、交渉技能、ある程度の戦闘技能。

聞き耳、医学、精神分析、心理学はあれば探索を有利に進められるでしょう

プレイ時間は、オンラインセッションで6時間〜10時間が目安です。

 

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2.KP情報

シナリオ背景

全ての原因はイゴーロナクです。

「貪る手の息子団」の団員が、隣町に住むシスターに「グラーキの黙示録(写本改訂版)」を渡した事から始まる

シスターは過去にいじめを受けており、少なからず恨みを抱えていた

それを察したイゴーロナクはシスターに乗り移り吸収しようとしている

だが、シスターの精神と魂は強く、イゴーロナクは難儀していた

 

そこでイゴーロナクは、教会へ通う学生「阿久津 渚」へ乗り換える

渚は心の奥底に強い復讐心と悪意を抱えていた。 そのため急速に心と魂が壊されていた

 

一連の事件は、イゴーロナクが憑依した人間の心と魂を食らいつくし「司祭」とするための活動である

憑依先の人間の悪意を満たし、心の支えとなる者を殺す事で司祭として完成させようとしていた

 

時系列について

・シスターの時系列

1ヶ月前:謎の人物から「分厚いハードカバーの本(グラーキの黙示録の写本・改訂版)」を渡される。イゴーロナクに司祭として選ばれる。

3週間前:渚・女生徒と共に交流。

7日前まで:イゴーロナクが落し子をけしかけ、シスターを過去にいじめていた者たち3人を殺す。

土曜日:イゴーロナクが渚へ移動。 本がなくなる。

日曜日:イゴーロナクがいなくなったため、元気になる。渚の異常に気づく。

月曜日:夕方、イゴーロナクによって殺される。

 

阿久津渚の時系列

1ヶ月ほど前:シスターに慰められる

3週間前:シスター・女生徒と交流。

土曜日:イゴーロナクに見初められ司祭として選ばれる。「グラーキの黙示録(写本)」を盗む

日曜日:シスターが恋しくなり、女性として意識する しかし、どこか歪んでいる。

月曜日:イゴーロナクがシスターを殺す。 夜、路地裏で渚をいじめていた同級生を1人殺す。

火曜日:自分が壊れていく悪夢を見始める。夜、廃墟で渚をいじめていたを2人殺す

水曜日:悪夢にうなされる。夜、公園にてクラスメイトを1人殺す。

木曜日:探索者たちに事件解決の依頼。 シスターの死を知り、自分の所業を全て思い出す

    夜、路地裏でクラスメイトを1人殺す。

金曜日:探索者と対峙する

 

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3.NPCについて

阿久津 渚(あくつ なぎさ)  17歳 高校生 SIZ12 APP12

非公開ステータス:INT:4,POW:4,CON:10

 

探索者に依頼を持ちかけてくる少年。隣町の高校生2年生。

 

「小際瑠璃」とは高1からの友人である。

1の時に、いじめを受けていた際にシスター「真鍋鶴子」に救われた。

それ以降、シスターのいる教会を拠り所にしている。

 

胸の内には仕返しをしたいという気持ちが少なからず、しかし根強く残っていた。

そのためイゴーロナクに取り憑かれ、精神と魂を喰われている

心の支えになっているシスター、心強い味方の小際瑠璃のお陰で心を保っていたが

鶴子の存在を疎んじたイゴーロナクによってシスターが死に、たがが外れる

以降は悪夢にうなされ、昼までは渚の意識があるものの、夜はイゴーロナクに乗っ取られる。

イゴーロナクは渚が恨みを抱いた相手、または心の支えとなる者邪魔者を殺す。

乗っ取られている間は記憶を曇らせるを受けており、思い出す事は出来ない。

 

名前の意味はアクにツかれてシにゆく者から。

 

真鍋 千鶴(まなべ ちづる)  聖職者 25歳 SIZ:18 APP:15

渚の拠り所となっている、町外れの教会のシスター

かつては隣町の高校に通っており、いじめを受けていた

そのため、過去の自分と似た境遇である渚に入れ込んでいる

最初はイゴーロナクに取り憑かれている。

夜にイゴーロナクの落し子をけしかけ、過去に自分をいじめてきた人間を殺害していた。

その事で彼女もまた悪夢を見ていたが、イゴーロナクが阿久津渚に移ったため解放される。

しかし、月曜日にイゴーロナクに殺された。

教会は日曜以外に人が殆ど来ないため、誰にも発見される事はなく探索者に発見される事となる。

小際 瑠璃(おぎわ るり)  高校生 17 SIZ:10 APP:13

STR:15 DEX:12 INT:11 アイデア:55

CON:14 APP:13 POW:10 幸運:50

SIZ:10 SAN:70 EDU:10 知識:50

HP:12 MP:10 Flee:24 db:+1d4

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渚のクラスメイトであり友人。高校2年生。

1年の頃から何かと関わっており、それなりに仲が良い。

2年になってから渚がいじめられている事に気づき、身体を張って救う程度には渚に好意的。

 

その他の死傷者

三頭之川 渡(さんずのがわ わたる)

南無 阿弥太郎(なむ あみたろう)

小夜名 蘭(さよな らん)

亞ノ世 逝夫(あのよ いくお)

五明 福夫(ごめい ふくお)

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4.導入

探索者達は隣町の高校生「阿久津渚」から依頼を受ける

依頼の内容は「隣町で連続変死事件が起こっている、隣町を救って欲しい」というものだ

 

導入内で得られる情報について

・隣町について <知識>ロール成功時に公開

隣町はベッドタウンであり人口もそれなりに多い

しかし駅周辺に密集しており、周辺から外れると人通りが極端に少なくなる

駅前は大型スーパーやホームセンターを中心とした商店街となっている

欲しいものがあればある程度は買いそろえられるだろう

町の中心部から外れると、学校や図書館、役場に総合公園などが点在している

町の外れには隣之川が流れており、周辺には土手、林や森が点在している

 

・事件について <知識>ロール成功時に公開

隣町では、確かに連続変死事件が多発しているという噂が流れていた事を知っているでしょう。

 

渚が知る情報

渚が知っている情報をどこまで公開するかはKP次第である。

3週間ほど前から連続変死事件が発生している。 詳細は知らない。

3日連続で隣町高校の生徒が変死体になっている。死因までは知らない。

・昨日死んだクラスメイトの名前は「三頭之川 渡(さんずのがわ わたる)」。渚のクラスメイト

・他3名は「南無 阿弥太郎(なむ あみたろう)」「小夜名 蘭(さよな らん)」「亞ノ世 逝夫(あのよ いくお)」

である。

 

謝礼金について

バイトで貯めたお金として[1d50+10]万円持ってくる。

 

渚が知る以上の情報を探索者が求めた場合

「解らないんです、解決なんてしそうにないし、クラスメイトが死んでるんです。 不安で、仕方がないんです」と答える

 

追求を続ける場合

「俺だって知りませんよ! 分かってたら何だって言いますよ!」と声を荒げる

直後に急に意気消沈し、次は友人、または自分が死ぬかもしれないという強い不安を吐露する

その後、懇願するかのように、探索者たちに再度助けて欲しいと願う

 

<心理学>or<精神分析>

とても不安に押し潰されそうなのか情緒不安定になっている

探索者たちだけが頼りだと必死になっている、という事がわかる

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5.調査開始

調査方法は主に聞き込みとなるだろう

住民はこの事件を恐れており、他所から来たと分かる探索者に情報を話したがらない。

情報を聞き出すためには交渉技能が必要となる。

値切りの場合はRPを必須とし、妥当であれば+20~+40のプラス補正を与える

値切り以外で同様のRPをした場合は、+10程度の補正を与える

聞き耳をした場合は、井戸端会議をしている奥様NPCらに会話させ情報を漏らす。

 

また、基本的にどの場所であっても情報に変化は無い。

一部の場所でのみ、情報が変化、あるいは追加される。

 

基本情報 <交渉技能>成功後、探索者に聞かれた場合に答える

最近死んだ10代の学生たちは全員「隣町高校」の高校生で

過去の被害者について聞いた場合、20代の男女の犠牲者は「隣町高校」のOB,OG

 

【総合公園】

公園には噴水、人工の小さな河川がある

周辺には遊歩道、子供の遊ぶアスレチックや運動場、更には野球場にバーベキュー場もあるようだ

今回の事件現場は、公園の野球場前辺りで起こったものである

事件現場は既に現場検証が済み警察は撤収済みである 現場周辺には人はいない

公園には散歩をしている老人、アスレチックで遊んでいる子供や井戸端会議をしている奥様方がいる

 

散歩をしている老人は、遺体の惨状を目撃し事態をが深刻だと強く危惧している

身分を明かし、解決のために動いていると言えば喜んで情報を提供するだろう

 

・追加情報

遺体には全身に齧られた痕があり膿んでいたようだ

傷跡の心当たりについて聞いた場合はキツネやタヌキくらいの大きさな気がするが、何か違うと答える

絵を書いて欲しいなどの提案があれば、半円形をしているという情報がわかる

 

【葬儀場】

葬儀場では、昨日の犠牲者の葬儀が行われていたらしく、喪服を着た親族がいる

葬儀は既に終わったようで、今は遺族、葬儀屋の方がいる程度である

遺族は心に深い傷を負っており、悲しみ嘆いている。 <精神分析>によって落ち着かせられるだろう

身分を明かし、解決してみせるという意思を見せれば<精神分析>に大幅な補正を与えても良い。

落ち着かせる事が出来れば情報を得られる。

 

・追加情報

犠牲者は夜遊びが好きで、よく公園でたむろしていたらしい

全身を獣に齧られたような傷跡があり、ひどく化膿していた

死因は失血死だと警察から聞いた

犠牲者は隣町高校の学生「亞ノ世 逝夫」である

阿久津 渚についてはクラスメイトという事しか知らない

 

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6.隣町高等学校

隣町高校はこの町の中にある唯一の高校である

公立高校であり、偏差値もさほど高くないため生徒数は多い

現在は授業は終了しており、下校時刻なのか多くの学生が下校中

校庭で部活動に勤しんでいる学生や先生もいることだろう

校門には度重なる学生の死のせいか、校門で学生らを見送っている先生がいる

 

 

学生に話を聞く:小際瑠璃の登場。

<交渉技能>に成功すると話してくれる。 渚に頼まれた事を話すと交渉技能の必要がなくなる。

・死んだ学生たちはよくつるんでいた

・素行の悪い連中であり、複数の人間を虐めていたとの噂がある

 

先生に話を聞く <交渉技能>に成功時に話してくれる。

3週間前からの犠牲者は人間はかつての同期であり先生もこの学校のOB,OGである

3日前からの犠牲者、3週間前の犠牲者はともによく問題を起こす学生だった

・いじめを行っているのを止めようとしていたが、できなかった

・学生相談室への相談は少なく、どれも他愛の無いもの

・本当に深刻な事は、学生は話してくれず力になれない事を嘆いている

 

阿久津渚について聞いた場合

 

・真面目な奴。 そのせいか学校では死んだ連中に虐められていた。

・教会に通っていて、そこのシスターさんと良く話をしているらしい

・教会の場所は町外れで人通りの殆どない場所にある

・日曜日には教会にそれなりに人が行っているが、平日には人が殆ど寄り付かない

・渚いわく、此処数日は空いていないらしくシスターの心配をしていた

 

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7.教会:犠牲者の発見 この時点で時間を17:00頃とする

町外れにある教会に行ってみると、扉は固く閉ざされている。人通りは殆どない。

 

<目星>や教会の周りを歩いてみるなどの行動を取った場合、裏口を発見

裏口に寄ると、血の臭いと何かしらの腐敗臭がする。

裏口の扉を開けると、四肢を齧られ、肉を抉り取られたシスターの死体を発見する。

腐敗は始まったばかりのようで、原型は辛うじて保たれている。

しかし、全身に獣に齧られたような傷跡が這い回り、その傷口が酷く化膿している

この凄惨な遺体を確認した探索者たちは、1/1d4+1sanチェック。

失敗時、この死体に驚き声を上げてしまうだろう。

 

【執務室】

シスターの遺体がある部屋は執務室。

簡素なデスクがあり、キリスト教に関する聖書や書籍が机の上に並んでいる

奥には扉があり、そこから礼拝堂に繋がっているようだ

床に転がるシスターの周辺には、乾いた血溜まりが出来ている

 

・デスクを調べる <目星>に成功すると、引き出しの中からシスターの日記帳が見つかる。

 

・遺体を調べる場合

<医学>に成功すると以下の情報を得られる。

死体の損壊状況から、死後3日ほど経過しているとわかる。

死因は失血死。傷跡が人の歯形に近い。 だが、小さい

 

<生物学>に成功すると以下の情報が得られる。

この傷跡は日本にいるあらゆる動物に合わない

強いて言うなら、一番近いのは人間の口である

 

【礼拝堂】

教会の内部には長椅子が並び、部屋の隅には予備の椅子が幾つか置かれている

教壇の奥には聖母マリアの像が飾られ、隅にはオルガンがある

上面にはステンドグラスから明かりが差し込んでいる

門は探索者が見たときと同様、堅く閉ざされている。

 

・聖母マリア像をよく見る場合

十字架から降ろされたキリストを抱く、聖母マリアの彫刻が置かれている。

<歴史><知識/2>:この系列の作品は「ピエタ」と呼ばれる。ピエタはイタリア語で哀れみ・慈悲などの意味を持つ。

 

渚の未来、そして救済の方法を暗示している。

マリア像が涙を濡らすか否かは、探索者に掛かっている。

 

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【シスターの日記】

シスターの日記

1ヶ月ほど前・・・

今日はお昼頃に変わったお客さんがやってきた。

お話をしていると、とても喜んでくれて、お礼と言って本を置いていった。

英語の聖書のようで、神様が神託を授ける司祭のこと、神様を天へ還す方法が書かれているみたい。

もうちょっと読んでみようと思ったとこで、渚くんがやってきた。

身体はボロボロで、たくさんの怪我をしていた

もう大丈夫だよ、と抱きしめてあげたら、嗚咽を漏らして泣いてしまった。

辛かったよね、すごく、辛かったよね・・・。

渚くんをみていると、昔の自分を見ているみたい。少しでも支えになってあげたい。

 

3週間ほど前・・・

最近、少しけだるい。どうしてだろう。 何かを忘れてしまった気がする。

 

今日は渚くんが、珍しく友達を連れて来た。 小際瑠璃ちゃんっていう元気な子。

みんなで話していて、とても楽しい時間だった。渚くんが屈託の無い笑顔を見せたのは、これが初めてかも。

 

×日 土曜日

以前にもらった本が、いつの間にかなくなっていた。

なくしちゃったのかな? 神様について書いてあったからもっと読みたかったのに・・・

 

×日 日曜日

最近、どうしても取れなかったけだるさが嘘のようで、今日はすごく気分がいい。

 

そういえば今日、渚くん変だったなぁ

何か聞いて欲しい事でもある?て思って声をかけたら「ごめんなさいっ!!」って走って帰ってしまった。

もしかして、瑠璃ちゃんのことかな? 今度よく聞いてみる事にしよう。 

 

・・・・・・ここで、日記は途切れている。

 

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8.事情聴取:渚の逃亡

この惨状に対して、善良な市民として通報をした場合は、探索者が一通り調べ終えた辺りで警察がやってきます。

探索者たちは事件現場にて取り調べを受ける事になります。警察の動きを見てか、教会にはいつのまにか人だかりができています。

 

【人だかりの中に】

取り調べを受けている際に探索者全員に<目星>を振らせます。

成功した人は人だかりの中に「阿久津渚」がおり、青い顔をしている事に気づくでしょう。

渚はすぐに後ろを振り返り、その場を全力で走り去ってしまいます。

しかし、探索者たちは取り調べを受けているため彼を追う事はできないでしょう。

警察を向けても、警察が振り向いたときには既に渚は行方を眩ましてしまいます。

重要参考人として警察署で事情聴取を受ける事になりますが

シスターの検死結果が月曜日のため、探索者はアリバイの裏が取れるため夜に解放されます。

 

9.新たな犠牲者

探偵事務所に戻り睡眠を取って休み、朝になります。

この時、テレビや新聞などで「犠牲者再び!? 4日連続の不可解な変死事件!」というテロップでニュースが流れます。

『本日未明、路地裏にて隣町高等学校に通う高校生が変死体として発見されました』

『遺体には全身を齧られたような痕があり、猛獣の線、および猟奇殺人の線で捜査をしているもようです』

『現場では現在も警察が捜査を続けており』と、ニュースが流れています。

 

9:00頃にHO1の方の電話に電話がかかります。相手は瑠璃のようです。

連絡のプリントを朝に渡しにいったら渚が寮におらず、寮母に聞いても昨日から戻ってないので、気になって探索者たちに電話をしてきたとします。

 

渚の部屋

寮にいけば寮母がいるので、寮母へ<交渉技能>を使う、または納得のいくRPをされた場合は渚の部屋に入れます。

寮についた時の時間は10:00とします。

 

渚の部屋は簡素なもので、勉強机にベッド、小さな本棚、クローゼットにテレビラックがあるようです。

本棚には教科書にノート、料理の本などが詰まっています。

テレビラックには学生らしくゲーム機があるようです。

部屋を探してみると勉強机の上には写真、引き出しの中に日記、小さな本棚に分厚いハードカバーの本があります。

オプションで"アルバム"を追加しても良い。

1ヶ月前ほど前・・・

 今日もいじめられた。 何で俺ばっかり俺が何したって言うんだ。 

 嫌な考えばかり、頭をよぎる。仕返ししてやりたい。 けど、そんなんじゃだめだ。

 シスターさんが優しく慰めてくれて、我慢出来ずに泣いてしまった。

 何でだろう。シスターさんはとても暖かくて、誰にも言えないような事をつい漏らしてしまう。

 教会の人って、人の懺悔を聞いたりするから聞き上手なのかな?

 

3週間ほど前。

 今日は一ついいことがあった。

 いじめられていたときに、瑠璃ちゃんが助けてくれたんだ。

 色々と問いつめられて、教会まで付いてこられるとは思わなかった。

 けれど、瑠璃ちゃんを交えて、シスターさんと話をすのはとても楽しかった。

 シスターさんも他愛も無い事で楽しく笑ってくれてた。

 こんな幸せなときが、いつまでも続いてくれれば良いのに。

 

×日 土曜日

 俺は、何をやってるんだろう。 教会にあった本を盗んでしまった。

 なぜかすごく興味が沸いて 明日、返しにいこう。

 

× 日曜日

 なんだか今日は、夢見が悪い。

 シスターさんに会ってみたら、気分がいいのか鼻歌を歌っていた。 可愛い。

 彼女を抱いたら、彼女の肢体を好きに出来たら、どれだけ満たされるだろう。

 優しい笑顔のシスターさんが、苦痛や恍惚に陥れたら、どれだけ興奮するのだろう

 ・・・そんな事が脳裏によぎった。 俺は、何を考えているんだよ

 シスターさんが言ってくれなかったら……そう思うと、怖くて仕方なかった。

 本、返しそびれちゃったな。

 

×日 月曜日

 空白

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×日 火曜日

 昨日の事が思い出せない。昨日はシスターさんのところに行ってたはずだけどなんでだろう。

 思い出せないのは仕方ないので、気分を変えて朝に日記を書いてみよう。

 

 今まで見ていた悪夢を、今日は鮮明に覚えていた。

 自分が、暗い何かに包まれていくような。 何かに、自分が食べられているような、そんな夢。

 朝、寮が騒がしいので話を聞いたところ、昨日の夜にうちの生徒が1人変死体で発見されたらしい。

 俺をいじめてきたグループの1人だ。 少しだけ、ざまあみろと思った自分がいる。

 

×日 水曜日

 昨日は、夕方に教会に行ったけど閉まっててだめだ、また思い出せない。

 また同じ夢を見た。身体のだるさも変わらない。

 今日の朝も、寮が騒がしかった。 今度は同級生が1人変死体になったらしい。

 一体何なんだろう 死んでくれてせいせいした気持ちもあった事が、怖い。

 次に死ぬのは俺かもしれない。 もしかしたら、瑠璃ちゃんかも

 そういえば瑠璃ちゃんが、隣の市の探偵がとても優秀で話題になってると話していた。

 明日、探偵事務所に行って連続変死事件をどうにかしてほしいと頼もう。

 

 今日こそは会えるかな、シスターさん。謝って、本を返さないと。

 

×日 木曜日

 また記憶が無い。悪夢も続いている。昨日も教会がしまってた。

 

 昨日は、クラスメイトが1人死んだ。

 死んでくれて、せいせいしたと一瞬でも思ってしまった……

 俺は一体、何考えてるんだろう ダメだ、嫌な考えばかり頭によぎる。

 こんなときに、シスターさんに会えれば良いのに

 あのときみたいに、慰めて欲しい。 暖かい温もりを、感じさせて欲しい

 

ここで日記が途切れている。

 

【分厚いハードカバーの本】

本を開いてみると、冒頭文に、英語で本書の概要が記されているようです。

 

〜この書物は、我らが神【Y様】を讃える聖典である〜

Y様は我ら、愚かな人間の抱える七つの大罪すらもお認めになって下さる、光を纏いし慈悲に溢れた神である〜

〜司祭として選ばれた者はY様の『真名』を授かり、我らを導いてくださるだろう〜

Y様は聡明なお方で、素質のある者を自ら司祭としてお選びになる事もある〜

〜その場合は、Y様自ら司祭としての御指南をしていただけるのだ〜

〜しかし、稀ではあるが司祭が素質のない異教徒の場合があり、そのときはY様は大層お怒りになられてしまう〜

〜そのお怒りを鎮めるために、異教徒から司祭としての資格を剥奪する術を此処に記そう〜

 

・この本には、手書きで書かれたものであり、Yという神について事細かに記載されている。

 しかし、神の「真名」は司祭として選ばれた者が神託を授かる以外に知る術はない。

 

研究し理解するためには<英語>ロールに成功する事が必要。呪文を覚えるまで熟読するには5時間。

<英語>に失敗した場合、1hの経過とする。

<英語>ロールに成功した探索者はSANチェック1D3/1D6、クトゥルフ神話技能+3%

更にオカルトに経験チェックが入り、呪文【異教徒から資格を剥奪する】を習得します。

呪文を他の探索者に伝える事はシナリオ内では出来ない事とします。

 

【異教徒から資格を剥奪する】

Yに憑かれたものの心が満たされ、Yを必要としなくなる事が条件。

取り憑かれた者の目の前で呪文を紡ぐ事が必要である。

また、呪文の詠唱者以外の者は、詠唱者に触れる事でその精神力を詠唱者に譲渡する事が出来る。

取り憑かれた者が満たされていない場合は、Yを弱らせる事ができるが完全に退散する事は出来ない。

なお、完全にYとして変態してしまっている対象には効果はない。

 

渚が異教徒となるためには、彼の求めるもの愛情・母性を感じさせる必要がある。

 変異中の渚を抱き留めることが鍵となります。

 渚はイゴーロナクに支配されかかっているため、言葉や技能による説得は不可能です。

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共有メモ【呪文ルール】

異教徒から資格を剥奪するためには、対象のPOW/5(端数切り上げ)のMPを必要とする。初期成功率は5%である。

追加でMPを支払った場合、成功率を上げる事が出来る。その場合はMP1につき+5%である。

詳細はルルブP263に記載。(退散の呪文)

 

MP譲渡のルール

呪文を覚えた探索者は任意のMPの譲渡が可能。

呪文を知っている探索者は最大MP1/3までMPの譲渡が可能。

探索者が4人だった場合、最大MP1/3が譲渡が可能なMPである。

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【アルバム】

 アルバムの中には渚の半生が写真で納められています。

 その写真には父親と思われる男性との写真が最も多いようです。

 最近では生前のシスターと一緒に撮ったもの、学校の行事で撮ったもの、瑠璃と一緒に映っているものなど様々です。

 <アルバムを詳しく調べる宣言>また、赤ん坊を抱えている女性が映っている写真があるようです。

 

朝のニュース現場

現場に行くと、捜査をしている警官たちと、現場周辺にいる野次馬で溢れています。

警官たちは取りつく島もありませんが、野次馬であれば話を聞く事が出来るでしょう。

 

【野次馬に聞き込みor聞き耳】

「ねえ奥さん聞いた? 死んだ子、死に間際に"ば、化け物が・・・"とか言ってたらしいわよ?」

「あらいやだ、化け物だなんてでもあんな状態だものねぇ 人がやったみたいな感じはないわねぇ

「この町クマなんていたかしら、ああ、怖い怖い……

といった情報が手に入る。

 

11.教会へ向かうまで 依頼者の家でグラーキの黙示録(写本)を読まない限り情報は出てこない。

本が読み終わるまでに「何かやっておきたい事、準備しておきたい事はありますか?」と聞く事。

出来る範囲であれば認めて構いませんが、先日のシスター、今日の犠牲者の事もあり周辺には警官が多いと伝えて下さい。

 

【渚について目撃証言を探す】「阿久津くん?教会方面に向かってるのを見たよ。いつもの事だから放っといたけど」と伝える

【瑠璃について聞いた場合】瑠璃が渚に呼ばれ、教会に向かったと聞く。

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12.対峙

教会に着くと、今まで閉じられていた教会の扉が開いています。

教会の内部には長椅子が並び、部屋の隅には予備の椅子、正面の教壇の奥には聖母マリアの像が飾られ、隅にはオルガン、上面にはステンドグラスから明かりが差し込んでいる事でしょう。

 

 中には瑠璃と渚がいます。渚は、イゴーロナクに成り代わられる瀬戸際で耐えています。

 だが、抑えが利かず身体が変異し始めてしまいます。

 その光景を目の当たりにした探索者は、1/1d20sanチェックとなります。

 

 変異を止めるには、渚を抱きしめ、心の隙間を埋めることが必須となります。

 

ここで、呪文を覚えながらも発狂してしまった方は、狂気は「この神を顕現させてはならない」という強い使命感となります。

発狂せず、行動が可能な探索者がいた場合は探索者にどう行動するかを聞いて下さい。

狂気が確定してから「渚の身体は、右腕から湧き出る白熱した肉に包まれ、徐々に変態を続けています」と伝えて下さい。

 

渚の変態は卓内では30秒〜1分ほどとし、提案があった際は変態が完了してしまうかもしれないと伝え、時間制限を匂わせて下さい。

また、【Y】が具現化するにしたがって。探索者の心の奥底に 悪意の原型とでもいうべき衝動が湧き上がってきた。

このまま【Y】を放置すれば、貴方たちだけではなく街の住民全体に影響がでるだろうと伝えてください。

リアルタイムで15分経過して案が決まらない場合は、<だきしめず退散も使用しない>としてイゴーロナクに完全に変異させて下さい。

 

瑠璃に行動を指示する場合は、具体的な行動を示さない限りは何もしません。

ただ、怖くて仕方が無い、どうしたら良いか分からないと涙ながらに訴えるだけです。

抱きしめるよう指示、もしくはロールプレイにて指示した場合、瑠璃に抱きしめさせて下さい。

 

探索者自身が抱きしめても問題はありません。

人の温もりを感じる事で、シスターの事、母親の事ずっと渇望していた人の温もりを感じ、心が満たされます。

そのままハッピーエンドにしたいとKPが判断した場合は、退散の判定を自動成功にしても構いません。

 

<だきしめず退散も使用しない>

HP47の光を纏いし顔を持たぬ神【Y】と戦闘

 

<だきしめず退散を使用>

退散成功でHP24(半減)の光を纏いし顔を持たぬ神【Y】と戦闘

退散失敗でHP37HP-10)の光を纏いし顔を持たぬ神【Y】と戦闘

 

<だきしめて退散を使用>

退散成功でYの従者1d4+2匹と戦闘 sanチェック1/1d4

退散失敗でHP24の光を纏いし顔を持たぬ神【Y】と戦闘

 

光を纏いし顔を持たぬ神【Y】および【Y】の従者のステータスについては以下の通り。

 

光を纏いし顔を持たぬ神【Y

イゴーロナク:顔のない低俗な悪意

STR:25 DEX:14 INT:30 

CON:68(125) SIZ:25 POW:28

HP:47(75) MP:28 回避:28 DB:0

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[武器]

タッチ:100% 各ラウンドで1INT1POWを喪失。

貪り食う:100% 治療不可1d4ダメージ

 

[習得呪文]

イゴーロナクの落し子の召還:1d2体の【Y】の落し子を召還する

記憶を曇らせる:ルルブ参照

ほかにKPが適当と思うものを搭載可能

 

[正気度喪失]

・人間が【Y】へ変貌する様を見た場合は正気度喪失1/1d20

 

[Y】のHPについての解説]

・渚の精神を喰らい切ったばかりの顕現であり、渚の身体能力(CON10)の影響を受けている。

 (125+10)/267.5の端数切り上げで、CON68となり、HP47へ減少している。

 

選択ルール:装甲、受け流しの装備破壊

・装甲や受け流しを行った場合、【Y】の攻撃による損傷部の溶解が発生する。

 装甲、受け流しが機能した際、幸運-((貪り食うを受けた回数-1)*10%)の判定が入る。

 幸運に失敗した場合、装甲は破壊され機能しなくなる。

 [貪り食う][タッチ]を受けた探索者にアイデアを振らせ、成功した場合この情報を公開する。

 

 武道およびマーシャルアーツなどの体術で受け流しを許可する場合は

 受け流し成功時、幸運-((貪り食うを受けた回数-1)*10%)で判定する。

 失敗時、ダメージの1/2(端数切り上げ)を受け、運動技能全てに-10%

 受け流しの際に使った部位が傷つけられるため、痛みと流血により動きが鈍るとする

 

Y】の従者、ぼろを着た目のない黒い影

STR:7 DEX:10 INT:3 

SIZ:5 CON:11

HP:8 db:-1D6

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[武器]

噛み付き:30%、ダメージ1D2 三回攻撃

[技能]

聞き耳:80%、においを嗅ぐ:80%、忍び歩き:80%

[正気度喪失]

・【Y】の従者を見て失う正気度ポイントは0/1D4

 

EX1.Y】の従者に関する処理について

 従者は基本的に群れで行動するため、駒は一つとして扱う。

 全体のHP/8(端数切り上げ)だけ攻撃行動を行う。

 HP40であれば、5*1体につき3=15回の攻撃を行う。

 攻撃対象はKPが指定し、出来る限り均一にすること。

 

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戦闘開始

戦闘が始まると、扉がひとりでに閉まります。

その扉の先からは、赤ん坊の鳴き声が聞こえる事でしょう。

窓から差し込む明かりも、どこか暗くなっており黒い人影のようなものが見えます。

 

戦闘開始直後、【Y】と呼ばれた神は、身体を震わせており動きがどことなく鈍くなっていますと伝えて下さい。

そして、1ターン目は呪文の影響か行動が鈍っているだろうと伝えます。

1ターン目のみ、イゴーロナクは攻撃ができず、探索者の攻撃成功率は+20%されます。

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12.終幕

Yを倒す】

Y】は探索者たちの猛攻を受け、その場に崩れ落ちます。そして、その身体が次第に崩れ、溶けていくでしょう。

怪物の身体が溶けてなくなるとその場に、渚が倒れている

彼を起こそうとした人間は気づくだろう。彼の目から光が失われている。

<精神分析>*2をすれば、彼の心は、完全に壊れてしまったと気づくだろう。

こうして、【Y】に取り憑かれた渚を倒したことで、連続変死事件は解決し、この町に平穏が訪れる。

 

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【渚を救う】

Y】を退散させ、阿久津を救う事ができた。 

連続変死事件は解決し、この町に平穏が訪れるだろう。

事の真相は、探索者たちの胸の中に残り続ける。

もちろん、渚の心にも。

渚の心の傷は、どうしようもなく深い。

だが、生きている。

彼の心に出来た傷は、癒える事は無いかもしれない。

それでも、きっと大丈夫だろう。

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13. クリア報酬

クリア:1d3

イゴーロナクの撃退:1d6

イゴーロナクの従者撃退:1d4

渚を救う:1d3+1

瑠璃救出に失敗:-1d6消去

 

【イゴーロナクからダメージを受けた探索者について】

後日、攻撃を受けた探索者達は塞がらない傷口をどうにか治療するため、病院に入院する事になるでしょう。